住職のつぶやき

 4月12日秋田さきがけ新聞朝刊3面に、「本県、35年に30万世帯 減少率21%、全国最大」の見出しで、「国立社会保障・人口問題研究所(社人研)は11日、2010年に38万9千世帯だった本県の世帯数が、35年には8万3千世帯減の30万6千世帯となる推計を発表した。減少率は全国最大の21.4%。世帯主が65歳以上の高齢世帯の割合も、本県が全国で最も高い52.1%となると予想している。」「世帯数の減少で、県内では市町村の税収や商店などでの消費の減少が見込まれる。地域の経済活動に影響が出るほか、地域コミュニティーの減退など多方面への影響が懸念される。」という内容の記事が掲載されておりました。

 新年度を迎えたこの4月、消費税も3%値上がり新聞記事に記載されている通り、商店などでの消費の減少が進み、地域の経済活動に影響が出始めているのが肌で感じるようになりました。数少ない当山の檀徒の中でも、数十年間飲食店と呉服店を三十年ぐらい前に起業したお二方が其々3月中にお店を閉められ、他社へ就職を余儀なくされました。時代の激変と共に諸行無常は迅速に、そして時を選ばず人を選ばず訪れて来ます。
また彼岸中に、空家の実家をいつまでも放置しておくことができないがどうしたら良いのか?の旨の相談(解体する業者を紹介して欲しい)が、檀信徒2軒より寄せられました。お人方は跡取りですが勤務先の関係で市内へ一軒家の自宅を持たれる方、そしてもう人方は独居老人の父が他界し、他所へ嫁いだ一人娘の御婦人であります。空き家のまま、実家だからといって冬囲いや屋根の除排雪の経費を掛け続けたり、固定資産税を払い続けるにも困難を極めます。空き家を放置し続けると雪で倒壊の危険性も極めて高くなります。売りたくても土地は下落したほかに買い手もつかない状態。まさに八方塞の状況なのです。

 冒頭の新聞記事のように、人口減少率が全国最大の21.4%になると15年後の我々の町は一体どうなるのでしょうか?税収不足の市はこの危機的状況にどう対応するのでしょうか?時あたかもこの随想を執筆中の4月13日は私が住む市の市会議員選挙の投票日です。「宜しくお願い致します。」の鶯嬢の声だけが時折むなしく聞こえて来た選挙期間だったような気がしてなりません。

 平成26年(2014)の干支は甲午(きのえ・うま)です。草木の種を覆っ ている固い殻が割れだす「かいわれ」状態をと呼びます。甲 乙 丙 ・・・・ と言われるように、十干の甲は始まりの序数詞としても用いられます。

 他方十二支のを何故「うま」と呼ぶのか分かりませんが、馬は向こう意気が強く逆らうことが多いので、動物の馬になぞらえたのでしょうか。また漢字語源では、午を「かみ合う」と解義しております。午はキネを交互に上下させ米をつく象形文字で杵と表します。つまり堅い米が柔らかくなる状態を指します。この意味からすると、今年は今までの固定概念は抜き去り、『昔からこういうもんだ』の頑固一徹から『昔は良かったな〜』ぐらいの柔軟姿勢に転じなければ今の時代乗り越えられません。格差が尚一層広がりそうです。

 皆様、神仏の存在を信じ、信仰を通して仏さまの智慧を授かり、暴れ馬の変革の御時世、落馬して怪我をなさらないように上手に暴れ馬の御時世を乗りこなして生きて参りましょう。                合掌